Main Topic
クチキゴキブリの雌雄が配偶時に行う翅の食い合い

翅の食い合い完了後の個体(左)と翅を食われていない個体(右)
翅の食い合いは、生物初の、
オスとメスが配偶相手の体の一部をお互いに食べ合う行動です。
クチキゴキブリでしか見つかっていません。
性的共食いとも、婚姻贈呈であるとも考えられますが、
まだその意義は全くの未解明です。
これから私が暴いていきたいと思っています。
毎年4~7月にかけて採集地であるやんばるへ赴き、
リュウキュウクチキゴキブリのサンプリング・実験を行っています。
翅の食い合い論文
“Mutual wing‐eating between female and male within mating pairs in wood‐feeding cockroach”
https://doi.org/10.1111/eth.13133
この論文は、2021年1月25日付で行動生態学の国際誌Ethologyに掲載されています(オープンアクセス)。
翅の食い合いの解説
文一総合出版ウェブマガジンBuNaにて、研究の解説と採集のこぼれ話を掲載中。
「新発見!オスとメスがお互いの翅を食べ合う昆虫…なんとゴキブリ」
翅の食い合い論文の記事
New York Times
“Cannibalism May Be Key for These Cockroach Couples”
スミソニアン博物館ウェブマガジン
“These Cockroaches Mate for Life. Their Secret? Mutual Sexual Cannibalism”
朝日新聞
「雄雌で羽を食べ合うゴキブリ発見 根元まで…浮気防止?」
Sub Topic
植物の素早い運動
がく下に接触刺激を与えられて花が閉じる様子
モウセンゴケ属の花ががく周辺に接触刺激を与えられると、わずか数分で閉じてしまう現象の意義解明を田川一希氏(宮崎国際大)と共同研究で行っています。
オジギソウのように葉が素早く閉じる例は知られていましたが、花の閉鎖はこれが初めてです。花は繁殖器官であるため、閉鎖すればポリネーション機会が失われてしまいます。
そこで私達が目をつけたのはモウセンゴケ属のスペシャリスト植食者であるモウセンゴケトリバの幼虫です。幼虫が花茎を登って花を食べに来たときに、その接触刺激に応じて花閉鎖が起こり、花の食害を回避できれば花閉鎖は適応的かもしれません。